特三の漁港から

第28回

境港市

境漁港は、「日本の渚百選」に選ばれている白砂青松の続く、弓ヶ浜半島の北端に位置し、秀峰「大山」を背景に、西日本有数の漁獲量を誇る漁業基地です。弓ヶ浜半島では江戸時代前期から伯州綿の栽培が始められ、収穫された綿は、北前船で全国に運ばれるなど、古くから港を中心に発展してきました。

境港市全景写真

境港市全景写真(左側は境水道を挟んで美保関半島(島根県)、下側が中海、上側は美保湾、境港市と米子市の美保湾側には弓ヶ浜が続き、その先には大山が見える)

境漁港のある鳥取県境港市は、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者「水木しげる」のふるさとでもあり、「さかなと鬼太郎のまち」として近年は177体の妖怪のブロンズ像が並ぶ「水木しげるロード」なども観光客に人気です。
また、山陰地方と全国・世界を結ぶ玄関口として、隠岐や韓国・ロシアとの定期航路や海外への輸出入・貿易における重要港湾でもあります。さらにクルーズ船の寄港地として、年間60以上の豪華客船が寄港します。海の港以外にも、空の港である「米子鬼太郎空港」は東京便以外にもソウル、香港への定期航路もあります。

境港市は、「美保湾」「中海・宍道湖」「日本海」と三方を海に囲まれた、まさに「海の町」であり、四季折々に多種多様な魚介類が集まるのが特徴で、春「ギンザケ」、夏「クロマグロ」、秋「ベニズワイガニ」、冬「ズワイ(松葉)ガニ」が特に全国的にも有名です。
「美保湾」は栄養豊富な湾であり、沿岸漁業のヒラメ、レンコダイ、キダイ、トビウオ、ホウボウ、ヒイラギ、シロバイ、アカバイ、シラスなどが獲れ、また、ギンザケの養殖も有名です。
「中海・宍道湖」は、汽水湖(海と湖の中間)であり、スズキ、ボラ、ヒイラギ、タイワンガザミ、メバル、ハゼ、エビ、ママカリなど海とは違った珍しい魚介類が獲れます。
「日本海」では、まき網、イカ釣り、かにかご、底引きなど様々な漁法の漁船が大量の魚を獲って来ます。アジ、サバ、マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどの大衆魚から、ケンサキイカ、スルメイカ、アカイカ、サワラ、マダラ、アカムツ、サヨリ、マダイ、ソウハチ、ハタハタ、カマス、ブリ、ハマチなど、そして、クロマグロ、ベニズワイガニ、ズワイガニの水揚げが有名です。

境漁港で水揚げされる主要な魚を紹介

境漁港で水揚げされる主要な魚を紹介

境港市では、たくさんの魚が主役のイベントがあります。
1月中旬の「カニ感謝祭」は、カニ水揚げ日本一を誇る境港ならではのイベントで、観光地「水木しげるロード」で「ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪たちと一緒にカニをたくさん積んだリアカーを引いてパレードし、「妖怪神社」にカニを奉納するイベントです。もちろんカニ汁のふるまいやカニの配布などもあります。3月には「カニカニマラソン」、4月には「境港水産物直売センターまつり」などもあります。

1月のカニ感謝祭

1月のカニ感謝祭

6月中旬には「境港まぐろ感謝祭」が境漁港で開催され、マグロの解体ショーや刺身ふるまい、各種マグロ料理販売などで、この時期限定の「境港天然本マグロ」を堪能できます。
7月下旬には「みなと祭り」が水木しげるロード周辺で開催され、花火大会なども賑わいますが、勇壮な漁船パレードや大漁祈願祭、マグロ解体ショーなども行われます。
10月には「水産まつり」が境漁港で開催され、港周辺は水産会社や水産関係団体の出店で賑わい、カニの無料配布やカニ汁・イワシつみれ汁のふるまいには長蛇の列が出来ます。
その他、体験乗船やセリ体験、つかみ取りなどなど毎年多くの来場者があります。

境港まぐろ感謝祭

また、5月、6月、7月、9月の第2土曜日には、美保湾にある沿岸漁業基地周辺で、「さかいみなと中野港漁村市」が開催され、朝獲れの沿岸の魚を漁師から直接食べ方などを話しながら買うことが出来るため、毎回人気があります。
大きなイベント以外でも、観光地「水木しげるロード」や大型スーパー、海産物直売施設などで、ギンザケ、カニ、マグロの季節には突発的にイベントが開催されることもあり、いつ来ても何かある境港市です。

地元のこどもたちを対象にした、魚食普及の取組も盛んに行っています。
「ギンザケ集会」「まぐろ集会」「カニ集会」は、それぞれ旬の時期に、幼稚園や保育園に関係者が出向き、紙芝居や寸劇、クイズ、試食などを行い、楽しく学んでもらっています。
「フィッシュキッチン」は、子供たちが自ら調理することで、命の大切さを学ぶ、生活していく力を育む、達成感を体験する、「キッズ・キッチン」の境港市版で、地元で獲れる魚を調理して、一汁三菜を園児が作る体験をします。
「おさかな探検隊」は、境漁港の市場見学ツアーに参加したり、日本一の剥製の展示施設である「海とくらしの史料館」を観覧したり、「活ガニ水槽」を見学したりと、園児が市内の施設を訪問し体験します。
「中野港漁師と園児の交流事業」は、沿岸で獲れる魚が、水揚げされる風景の見学から、魚を直接触りながら漁師と触れ合う体験をします。

加工品製造も盛んです。
特にアジ、サバ、ベニズワイガニ、イカなどの加工品が全国的にも有名です。地元の人にもPRするため、「みんなで選ぶ境港の水産加工大賞」を二年に一度開催し、毎回賑わっています。また、そこで受賞した商品は、「Sea級グルメ全国大会」などに参加し、4大会連続で上位入賞するなど、全国の消費者にもその味を評価されています。

第8回みんなで選ぶ境港の水産加工大賞のチラシ

第8回みんなで選ぶ境港の水産加工大賞のチラシ

境漁港は高度衛生管理型市場へ移行中です。
令和元年6月には、一部供用開始しました。(1号上屋と陸送上屋)
令和4年の全施設完成に向けて、市場を開場しながら工事を進めているところです。
新市場の一部供用開始に伴い、キャッチフレーズとシンボルマークを公募し、キャッチフレーズは434点の中から、「安心と安全が、進化するみなと」に決定、シンボルマークは227点の中から次のように決定しました。

進化するみなと、「境漁港」そして、「境港市」へぜひ一度、お越し下さい。