特三の漁港から

第24回

福岡市

博多湾の奥部、九州一の繁華街「天神」の北側に位置する博多漁港は、江戸時代に黒田藩が整備開港したものを受け継ぎ、明治時代に入って、民間資本による埋立造成が行われました。
その後、昭和初期に底曳網漁業の基地として整備が進められ、製氷冷凍施設の充実により、博多漁港の基盤が整い、昭和35年に特定第三種漁港の指定を受けました。
博多漁港は、旋網漁業・沿岸漁業の水揚漁港としての産地機能と、背後に福岡都市圏人口250万人の大消費地を抱えた消費地機能を併せ持つ漁港です。

博多漁港全景

博多漁港全景

博多漁港は、「福岡市中央卸売市場鮮魚市場」を中央に擁し、沖合漁業や沿岸漁業の水揚げに加え、韓国や中国からの生鮮水産物、九州各地からの陸上搬入漁獲物の中核集積基地としての役割を担っており、平成27年の取扱金額は約479億円で全国第1位、取扱量は約8万2千トンで全国第10位となっています。取扱量の多い魚種は、第1位は「さば類」、第2位は「ぶり類」、第3位は「あじ類」となっています。
鮮魚市場では、市場基幹施設の抜本的な整備充実と市民に開かれた新しい市場づくりを推進するため、平成5年度より再整備事業に着手し、平成19年3月に完了しました。また、卸売場棟の排ガスや粉塵、鳥の侵入等の衛生面の課題を解消するため、平成27年8月より、卸売場棟の建替・改良や構内運搬車両の電動化などの高度衛生管理整備事業を進めるとともに、博多漁港では、大規模地震が発生した場合にも、早期に水産業の再開が可能となるよう、岸壁の耐震強化も併せて進めています。

鮮魚市場では、市場を身近に感じ、魚食への関心を高めてもらおうと、毎月第2土曜日を「市民感謝デー」として市場の一部を開放し、普段入ることができない全長200mにも及ぶ仲卸売場棟で、生鮮水産物や冷凍・塩干加工品の販売、マグロの解体ショー、魚のさばき方実演、旬の魚の展示などを行っています。

また、食の安全性・信頼性の確保を図り、安心して食べられる農林水産物を供給する生産者及び市場流通関係者と消費者の相互の理解と認識を深めることを目的に、毎年秋に鮮魚市場会館及びその周辺において「福岡市農林水産まつり」を開催し、福岡市の農林水産物のPR、展示即売などを行っています。

また、博多漁港内に整備した「かもめ広場」は市民の憩いの場として利用され、地域団体が主催する「かもめのグリル」などの食イベントの開催や、緑地樹木へのイルミネーションの点灯が行われるなど、市民に親しまれる漁港を目指しています。

【参考リンク集】